60代からの「好き」をカタチにする時間
人生の折り返し地点を過ぎ、時間にゆとりができた今。日々の暮らしの中に、心が落ち着くひとときや、夢中になれる趣味があると、毎日がぐっと豊かになります。そんなシニア世代の女性に今、人気を集めているのが「手芸・編み物・刺繍」といった“ものづくり”の趣味です。
一針一針に想いを込めて、自分だけの作品を作り上げる喜び。手を動かすことで得られる癒し。誰かに贈ったときの笑顔……。手芸の世界には、年齢を重ねたからこそ味わえる深い楽しみがたくさん詰まっています。
なぜ今、60代女性に「手芸」が人気なの?
心と頭を優しく刺激する「癒しと脳トレ」
手芸は手先を使いながら、色合わせやデザインを考えるなど、思考力も使う作業。そのため、集中力が高まり、自然と「マインドフルネス(心が整う状態)」にもつながります。
また、近年では手芸や編み物が認知症予防やうつの軽減に効果があるとも言われ、医療や介護の現場でも注目されています。
「達成感」と「自己表現」ができる
完成した作品は、世界にひとつだけの自分の分身のようなもの。「できた!」という喜びは、自己肯定感を育て、気持ちを前向きにしてくれます。色や素材、デザインを自由に選べるので、自分らしさを表現する楽しさも魅力です。
「誰かのため」に作ることで生まれる喜び
お孫さんの帽子やマフラー、ご家族へのちょっとした贈り物など、「誰かを想って作る時間」は、作り手の心を豊かにしてくれます。「手づくりって嬉しいね」と言われるその瞬間が、また次の作品への原動力になるのです。
初心者にもおすすめ!手芸の種類と楽しみ方
かぎ針編み(クロシェ)
短いかぎ針1本で編む技法で、コースターやポーチ、小さなマスコットなど、初心者でも取り組みやすい作品が多くあります。毛糸の色を変えるだけで印象が変わるのも楽しいポイント。
棒針編み
2本の棒針を使って編む方法で、セーターやベスト、ブランケットなど大物にも挑戦できます。編み図の見方やパターンを覚えながら、少しずつスキルアップする楽しみがあります。
刺繍(ししゅう)
布に絵を描くように針と糸で模様を描く刺繍は、優雅で繊細な世界。ハンカチのワンポイントや、クッションカバーの装飾など、実用的なアイテムにも取り入れやすいです。
パッチワーク・キルト
お気に入りの布を組み合わせて模様を作るパッチワークや、綿を入れてふっくら仕上げるキルトは、布の温もりを感じられる人気ジャンル。古着を再利用するなど、エコな楽しみ方もあります。
必要な道具は?どこでそろえる?
近年は100円ショップや手芸専門店、ネット通販でも初心者向けのキットが豊富にそろっています。
- 基本の道具(例)
・かぎ針、棒針、刺繍針
・糸切りばさみ
・毛糸や刺繍糸
・刺繍枠、編み図、布など
初心者キットには、道具一式が揃っていて、説明書もわかりやすく、すぐに始められるのが魅力です。

どこで学べる?続けられる?
カルチャーセンター・公民館
地域の講座では、講師に直接指導してもらえるため安心感があり、同じ趣味を持つ仲間とも出会えます。仲間との交流があることで、継続しやすくなります。
オンライン・通信講座
自宅で自分のペースで学びたい方にぴったり。最近はYouTubeや有料オンラインレッスンでも、プロの先生の丁寧な解説があり、初心者でも安心です。
SNSや動画での独学
InstagramやYouTubeでは、手順動画や作品紹介が多数。気になる作家さんをフォローすれば、毎日の制作意欲もアップします。
作った作品を「活かす」「広げる」
- 販売して収入に
・「minne」や「Creema」といったハンドメイドマーケットで販売可能。自分の作品が誰かに届く喜びも。 - 展示会や作品展に出展
・地域の作品展やネット上の展示会に出品することで、モチベーションが高まります。 - プレゼント・寄付として活用
・編んだ帽子を病院や施設に寄付するなど、社会貢献につながる活動も。自分の作品が誰かの役に立つという喜びは格別です。
「好き」が、暮らしを豊かにする
手芸・編み物・刺繍は、時間を忘れるほど没頭でき、暮らしに彩りを加えてくれる素敵な趣味です。高価な道具や広いスペースがなくても、ちょっとした時間と道具さえあれば始められます。
何より大切なのは、「楽しむ気持ち」。
失敗も味わいに。作品に“自分らしさ”が自然とにじむのが、手作りの良さです。これからの人生、無理なく、自分のペースで楽しめる手芸の時間を、ぜひあなたの暮らしの中に取り入れてみてください。